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Features
Classic and Cuisine
国内外で活躍するピアニスト・赤松林太郎さん。食にも造詣が深いことで知られている赤松さんが、音楽と食事の共通点を探るこの企画。第三回の今夜訪れたのは、神楽坂に佇む「リストランテ ステファノ」。隠れ家のようなこのリストランテではヴェネチア郷土料理を中心に、北イタリアの味を楽しむことができる。
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各地で食文化が発展するイタリアの魅力
歴史的に見ると、イタリアはもともと複数の都市国家が集まって成り立っている国です。そのため、それぞれの地域で食文化が独自に発展しているのが特徴でしょう。ローマ風、ミラノ風という言い方もあるように、同じ料理でも食材や味付けが違ったりするんです。
ヴェネチアやミラノ、トリノがある北イタリアはアルプスをひかえており、冬が寒い。お米を使った料理や、ジビエも楽しめるのが北イタリアの郷土料理です。僕が好きなのは、ポレンタというとうもろこしの粉から作られたペースト状の料理。昔はパンやパスタの代わりに食べられていましたが、今は付け合わせとしてよく出されますね。

今回訪れた「リストランテ ステファノ」は、そんな北イタリアの郷土料理を食べたくて見つけたお店です。僕がお店を探すときは、そのお店にどんな料理があるのかを確認します。ホームページでメニューを見る時間も楽しいんですよ(笑)。初めて来店した時も、イタリア人シェフの見事な料理に感動しました。店内の心地よい雰囲気もすてきですよね。
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見た目もおいしい料理から伝わる物語
一皿目にいただいたのは「干し鱈のムースベネチア風味」。干し鱈はヴェネチアでよく使われる食材です。Stoccafisso(ストッカフィッソ)と言って鱈の内臓を取り除いてから乾燥させた食材で、日本でも北海道などでは漁獲した後に長く保存するために作られるし、おせちに入っている棒鱈とも似ていますね。遠く離れたイタリアと日本で、似ている食文化を見つけるのも楽しいですね。
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二皿目は「自家製ガルガティの自家製ソーセージとトマトソース ローズマリー風味」でした。この自家製ソーセージが本当に美味しい。以前食べた時も、感動しました。今回はトマトソースとして、ガルガティと合わせていただきました。ローズマリーが、トマトとお肉をつないでいるのがよくわかる一皿でした。

さらに最後の三皿目は「ウサギのもも肉のロースト」。野を駆けるうさぎは筋肉質で硬いイメージもありますが、ここでは柔らかくジューシーでした。シェフに聞くと、火の入れ方でも変わってくるとのこと。美味しく食べさせてくれるこだわりが嬉しいですね。

三皿すべてに言えることですが、味はもちろんのこと、見た目も鮮やかで美しい。選ばれたプレートや盛り付けからも、物語が感じられるようです。
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自家製ガルガティの自家製ソーセージとトマトソース
ローズマリー風味
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ウサギのもも肉のロースト
甘酸っぱいソース パプリカとポレンタ添え
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理性的な音楽が好まれる北イタリアの特性
地域で食文化が変わると最初に紹介しましたが、音楽の文化も同じように違います。僕の体感の話になってしまうんだけれど、コンクールで受ける曲や弾き方まで違うように感じます。イタリアの南部は情感に訴えかけるような演奏が好まれるけど、北部はどちらかというと理性的。クールで正確な印象がありますね。音楽なので、どちらが正解ということもありませんが、おもしろいなと思います。
Classic and Cuisine
今回、CELVIANO Grand Hybrid GP510-BP で演奏したのは、メンデルスゾーン作曲の「ヴェネツィアのゴンドラの歌 Op.30-6」です。

第一回の記事(「Classic and Cuisine Vol.1」)でもお話しましたが、イタリアはクラシック音楽が生まれた場所であり、すばらしいオペラの名曲もたくさんあります。たくさんの文化や価値観が混ざり合って、イタリアの音楽を作り上げているわけですね。
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食事や音楽から、そこに住む人々の文化を感じる
僕は仕事でもプライベートでも、何度もイタリアをはじめとしたヨーロッパを訪れていますが、いつまでたっても満足できないんですよ。食事やお酒を楽しむのが好きだけど、それはその奥に住む人々の生活や文化が見えるからです。行ったことある場所もない場所も・・・僕にとってイタリアは、生涯にわたって隈なく旅行したい国ですね。行ったことがない人も、食事や音楽を楽しみながらそれぞれの地域の違いを感じ、興味を持っていつか訪れたいと思ってもらえると嬉しいです。
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赤松林太郎(ピアニスト) プロフィール
世界的音楽評論家ヨアヒム・カイザーにドイツ国営第2テレビにて「聡明かつ才能がある」と評された2000年のクララ・シューマン国際ピアノコンクール受賞がきっかけとなり、本格的にピアニストとして活動を始める。
1978年大分に生まれ、2歳よりピアノとヴァイオリンを、6歳よりチェロを始める。幼少より活動を始め、5歳の時に小曽根実氏や芥川也寸志氏の進行でテレビ出演。10歳の時には自作カデンツァでモーツァルトの協奏曲を演奏。1990年全日本学生音楽コンクールで優勝して以来、国内の主要なコンクールで優勝を重ねる。神戸大学を卒業後、パリ・エコール・ノルマル音楽院にてピアノ・室内楽共に高等演奏家課程ディプロムを審査員満場一致で取得(室内楽は全審査員満点による)、国際コンクールでの受賞は10以上に及ぶ。
国内各地の主要ホールはもとより、アメリカ、ロシア、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オーストリア、ハンガリー、ポーランド、台湾、コロンビアを公演で回る一方で、2016年よりハンガリーのダヌビア・タレンツ国際音楽コンクールの審査員長を歴任しており、近年はヨーロッパ各地で国際コンクールやマスタークラスにも多数招聘されている。
これまでに新田ユリ、手塚幸紀、堤俊作、西本智実、山下一史、マルク・アンドレ―エ、デアーク・アンドラーシュ、ミロスウァフ・ブウァシュチック、タラス・デムチシンの指揮のもと、東京交響楽団やロイヤルメトロポリタンオーケストラ、ロイヤルチェンバーオーケストラ、デュッセルドルフ交響楽団、ドナウ交響楽団、シレジア・フィルハーモニー管弦楽団などと共演。キングインターナショナルから《ふたりのドメニコ》《ピアソラの天使》《そして鐘は鳴る》《インヴェンションへのオマージュ》《ブルクミュラー 25&18の練習曲》《わたしを泣かせてください》をリリース。新聞や雑誌への執筆も多く、エッセイや教則本などの単著も次々と刊行。
現職は、大阪音楽大学准教授、洗足学園音楽大学客員教授、宇都宮短期大学客員教授、ブダペスト国際ピアノマスタークラス教授、カシオ計算機株式会社アンバサダー。
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撮影協力:リストランテ ステファノ
https://www.stefano-jp.com/
〒162-0825
東京都新宿区神楽坂6-47照井ビル1階
TEL : 03-5228-7515

定休日: 火曜終日 & 水曜日ランチ

Lunch
月木金 11:30 ~ 15:00 (14:00 LO)
土日祝 1部) 11: 30-13: 15
    2部) 13: 30-15: 30 (14:30 LO)

Dinner
17:30 ~ 22:00 (21:00 L.O.)

Take Out
11:30~14:30 & 17:30~21:00 (20:45 L.O.)
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