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国内外で活躍するピアニスト・赤松林太郎さん。食にも造詣が深いことで知られている赤松さんが、音楽と食事の共通点を探るこの企画。第六回の今夜、赤松さんが訪れたのは中目黒の駅からほど近い商店街の中にある「Bistro HiNGE Nakameguro」だ。全体的にシンプルなデザインでありながらも温かみのある店内で、赤松さんにとっても馴染み深い料理をいただく。
気の置けない仲間と食事を楽しめるビストロのよさ
フレンチと聞くと格式高く、入りにくいというイメージがありますが、それはいわゆるフルコースのことでしょう。僕も若い頃にフランスにいた時は、そんな料理はまったく食べられませんでした。
宮廷料理だったころのフランス料理は市民が食べる機会はなく、フランス革命の後にレストランやビストロが誕生しています。特にビストロはカジュアルなお店のことで、仲の良い友人と食事をしながら楽しい時間を過ごせる場所です。高級フレンチとは違い、気軽さがあって学生時代の僕もたくさんの思い出があります。
ちなみによりカジュアルにお酒を楽しめるのがブラッスリー。食事を気軽に楽しむならビストロに、お酒をメインにという時はブラッスリーにと使い分けられるのがいいですね。
大事に作り、大事に楽しむ・・・料理と音楽の共通点
「Bistro HiNGE Nakameguro」は1階がカウンター席のみで、テーブル席は2階にあります。友人とゆっくり食事を楽しむには2階もいいけれど、今日は常にシェフの姿が見えるカウンター席に。どういう手順で作られるんだろう、とか今作っているのが自分の注文かなとキッチンの様子が気になりますね。僕は料理の音も好きなんですよ。フランス料理はバターから始まる印象が強いですね。熱したフライパンにバターを入れると、ジュッという音に引き続き、濃厚な香りが広がります。フランスで勉強している時に、音は打つものではなく「撫でるもの」と言われたこともありました。その時にフライパンの上で溶けるバターのイメージがわかりやすく、フランス人の芸術に対する考え方に接したような気がします。

前菜は「大船渡産牡蠣のムニエル トリュフと舞茸のリゾット添え 焦がしバターソース」。牡蠣の旨さを煮詰めたような味で、苦味の代わりにトリュフが豊かに香り、一口食べただけで口の中に上品なインパクトが広がりました。複雑なのにどっしりしすぎていない味は、冬の季節にぴったりです。飲みやすい白ワインも料理と合わせると深みが出て・・・こういうマリアージュが楽しみの一つですね。
大船渡産牡蠣のムニエル
トリュフと舞茸のリゾット添え 焦がしバターソース
二皿目は「オニオングラタンスープ」です。パリでは、オニオングラタンスープをカフェなどで食べることが多く、一般的に親しまれています。僕にとってもスープのやさしい温もりは、パリで過ごした夜を思い出させてくれる大切な一品で、オペラやバレエを観た後に友人たちと語り合いながらテラスで暖を取りました。以前からスープは命の雫のようと言っていましたが、玉ねぎを丁寧にソテーするところから作るオニオングラタンスープを見ると、いかに大事に作られているかわかります。大事に作られたものだからこそ、大事に食べる・・・音楽も同じで、大事に演奏するから大事に聞いてもらえるんでしょうね。

三皿目はジビエ料理の「蝦夷鹿のロースト バターナッツのピューレ添え 赤ワインとブラックベリーのソース」。古くから狩猟が盛んなフランスでは、貴族の料理としてジビエ料理が発展してきました。お肉は柔らかく、きめも細かくて、これは丁寧に火が入っているからこそ。職人技を味わうことができました。黄色いバターナッツのソースは見た目よりあっさりしているものの、ほんのり酸味もして、エゾジカのしっかりとした味を引き出していました。
オニオングラタンスープ
蝦夷鹿のロースト バターナッツのピューレ添え 赤ワインとブラックベリーのソース
このお店は、フランスに留学していた頃からの親友に教えてもらった一軒です。フランスにいた頃はお金もなく外食もなかなかできなかったので、牛タンを丸ごと買って料理をしたり・・・気軽に美味しい食事を楽しめるビストロは、そういう懐かしい出来事も思い出させてくれる場所です。
音楽の中にある豊かな幅
今回演奏したのは、サティ「ジムノペディ第1番」です。料理にも格式高いものから、気軽に楽しめるものまであるように、音楽にも豊かな幅があります。そんな中でも熱いフライパンの上で溶けるバターのように、なめらかに広がる音を感じてもらえるんじゃないでしょうか。
Classic and Cuisine CELVIANO GRAND HYBRID
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五感を満たしてくれる総合芸術
初めて「Bistro HiNGE Nakameguro」に来た時に作ってもらったのが、アンドゥイエットでした。ソーセージのようなものなんですが、日本でよく知られているものと違って細かく刻んだ豚の内臓も入っているので、独特の食感をしています。お店のメニューにはない料理で、わざわざ作ってくれたのが嬉しかったですね。これもフランスでよく食べていた思い出の料理なので、シェフが用意してくれたんですよ。食べていると当時のことが鮮明に思い浮かんできました。食事は思い出をビビットに彩ってくれますね。この連載を通して食事と音楽の共通点を取り上げていますが、どちらも自分の経験値によってより深く楽しめるというのが大きなポイントです。技術に向き合うことの重要性はもちろん、五感を満たしてくれるという意味においてもどちらも総合芸術と言えるでしょう。
赤松林太郎
赤松林太郎(ピアニスト) プロフィール
世界的音楽評論家ヨアヒム・カイザーにドイツ国営第2テレビにて「聡明かつ才能がある」と評された2000年のクララ・シューマン国際ピアノコンクール受賞がきっかけとなり、本格的にピアニストとして活動を始める。
1978年大分に生まれ、2歳よりピアノとヴァイオリンを、6歳よりチェロを始める。幼少より活動を始め、5歳の時に小曽根実氏や芥川也寸志氏の進行でテレビ出演。10歳の時には自作カデンツァでモーツァルトの協奏曲を演奏。1990年全日本学生音楽コンクールで優勝して以来、国内の主要なコンクールで優勝を重ねる。神戸大学を卒業後、パリ・エコール・ノルマル音楽院にてピアノ・室内楽共に高等演奏家課程ディプロムを審査員満場一致で取得(室内楽は全審査員満点による)、国際コンクールでの受賞は10以上に及ぶ。
国内各地の主要ホールはもとより、アメリカ、ロシア、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オーストリア、ハンガリー、ポーランド、台湾、コロンビアを公演で回る一方で、2016年よりハンガリーのダヌビア・タレンツ国際音楽コンクールの審査員長を歴任しており、近年はヨーロッパ各地で国際コンクールやマスタークラスにも多数招聘されている。

これまでに新田ユリ、手塚幸紀、堤俊作、西本智実、山下一史、マルク・アンドレ―エ、デアーク・アンドラーシュ、ミロスウァフ・ブウァシュチック、タラス・デムチシンの指揮のもと、東京交響楽団やロイヤルメトロポリタンオーケストラ、ロイヤルチェンバーオーケストラ、デュッセルドルフ交響楽団、ドナウ交響楽団、シレジア・フィルハーモニー管弦楽団などと共演。キングインターナショナルから《ふたりのドメニコ》《ピアソラの天使》《そして鐘は鳴る》《インヴェンションへのオマージュ》《ブルクミュラー25&18の練習曲》《わたしを泣かせてください》をリリース。新聞や雑誌への執筆も多く、エッセイや教則本などの単著も次々と刊行。
現職は、大阪音楽大学准教授、洗足学園音楽大学客員教授、宇都宮短期大学客員教授、ブダペスト国際ピアノマスタークラス教授、カシオ計算機株式会社アンバサダー。
撮影協力:Bistro HiNGE Nakameguro
https://hinge.jp
〒153-0051
東京都目黒区上目黒2-11-1
TEL:03-5724-3215

定休日:毎週火曜日、第1・第3水曜日

営業時間
Dinner 17:30~22:00 (L.O.21:00)

土・日曜日
Lunch 11:30~14:30(L.O.14:00)
Dinner 17:30~22:00 (L.O.21:00)
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