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Features
Classic and Cuisine
国内外で活躍するピアニスト・赤松林太郎さん。食にも造詣が深いことで知られている赤松さんが、音楽と食事の共通点を探るこの企画。第四回に赤松さんが選んだのは「銀座ハプスブルク・ファイルヒェン」だ。オーストリア国家公認キュッヘン(料理)マイスターである神田真吾さんがオーナーシェフを務める名店。今夜はどんな料理を楽しめるのだろうか。
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ハプスブルク家の統治下で発展したオーストリアの文化
オーストリアの食文化は洗練されていますが、これには地理的な要因と歴史的な背景があります。イタリア、ドイツ、チェコ、ハンガリーといった国に囲まれているオーストリアは、食材も調理法も周囲の国々から取り入れているんですね。さらに、オーストリアは長い間ハプスブルク家による統治が行われていました。ハプスブルク家というとハンガリー料理の回にも出てきましたね。ハプスブルク家出身のオーストリア皇帝がハンガリーの国王を兼ねていた時代もあり、ハプスブルグ家の勢力がいかに大きかったかよく解ります。料理だけでなく芸術の文化の発展にもハプスブルク家の影響は小さくありません。ハプスブルク家がヨーロッパの全てなんじゃないかと思える時代もあります。

今回訪れた「銀座ハプスブルク・ファイルヒェン」は大好きなレストランのひとつ。神田シェフのファンなんですよ。食事が楽しみすぎて、今日は朝からご飯を抜いてきました(笑)。
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オーストリアの伝統的な料理を銀座で味わう贅沢
海がない国土なので淡水魚が使われていたり、肉料理が多いのも特徴ですね。このレストランでオーストリア料理というと、宮廷料理のイメージが強いけど、もちろんそれだけじゃありません。

前菜は伝統的なオーストリア料理である「ガーベルシュピース」。燻製された岩魚が、ジャガイモと人参のクリームソースで和えられています。ピクルスの酸味も爽やかで、季節感がありますね。一緒にいただいたワインもフレッシュな果実味があり、おいしかったです。神田シェフの料理には伝統と驚きが詰まっているような気がします。今回も見た目はトラディショナルで美しいのに、一口食べるとジュレの酸味が広がり嬉しい驚きを感じました。口の中で驚かせてくれる食事は楽しいですね。
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ガーベルシュピース オーストリアのクラシックな前菜
二皿目は「ウィーナーリンドスッペ」というスープです。ベースはコンソメですが、中にフリッターテンというクレープの細切りが入っています。ちょうどヌードルのような感じですね。僕はこれが大好きで、甘さも感じるやさしい味は体調が悪いときにも食べられるくらい。身体も温まりますね。

メインは「ウィーナーシュニッツェル」。仔牛のロース肉をパン粉をつけて揚げた料理で、これもオーストリアの名物料理です。薄く叩いたロース肉のふんわりと包む周りの衣がなんとも言えずおいしい。搾ったレモンもアクセントになり、ワインが進みました。この時にペアリングしてもらったのは奥行きのある赤ワイン。上品な味わいでオーストリアらしい一杯でした。

いただいた料理はすべて伝統的なメニューで、僕も現地でよく食べていたものばかり。その伝統的な部分は残したままで、神田シェフは日本人が好きなポイントも押さえているんですよね。今回も大満足させていただきました。
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ウィーナーリンドスッペ
ウィーン伝統のコンソメスープ
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ウィーナーシュニッツェル
オーストリアを代表するお肉料理
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数多くの作曲家が住んだ洗練されたウィーンの街
学生時代はハンガリー・ブダペストで過ごしていたので、当時からオーストリアは身近な場所のひとつでした。ブダペストから2時間くらいで行けて、都会だという印象です。オーストリア・・・特に首都ウィーンの人たちは洗練されていて感性が鋭いんですよね。海外の演奏会をイメージするとお客さんが「ブラボー!」と声を上げるシーンが思い浮かぶかもしれませんが、そういった人たちはウィーンにはほとんどいませんね。皆さんがそれぞれ音楽に向き合っていて、鍛えられた聴衆とでも言えるでしょうか。その中で演奏する空気感が僕は好きです。
Classic and Cuisine
今回、CELVIANO Grand Hybrid GP510-BP で演奏したのは、 リスト「ウィーンの夜会(シューベルトの「ワルツ・カプリス」) No.6」です。

何と言ってもウィーンは、数多くの作曲家たちが住んだ街です。ウィーンで演奏をしていると、音楽と作曲家と自分だけしか世界にいないような気持ちになるんです。僕自身も音楽に向き合える、ウィーンはそういう場所ですね。
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食事が呼び起こしてくれる思い出が財産に
オーストリアには何度も訪れているからか、今日は改めて学生時代や若い頃を思い出しました。もちろんこんなにいいものは食べられなかったけど、あの頃は食べてみたい料理や、欲しいものがたくさんあった。なんでも欲しがっていたような気がします。でも、今日こうして素晴らしい食事をいただいていると、当時の思い出や経験が蘇ってくるんですよ。たっぷりと自分の中に思い出があって、それが自分の財産になっているんだと改めて感じましたね。
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赤松林太郎(ピアニスト) プロフィール
世界的音楽評論家ヨアヒム・カイザーにドイツ国営第2テレビにて「聡明かつ才能がある」と評された2000年のクララ・シューマン国際ピアノコンクール受賞がきっかけとなり、本格的にピアニストとして活動を始める。
1978年大分に生まれ、2歳よりピアノとヴァイオリンを、6歳よりチェロを始める。幼少より活動を始め、5歳の時に小曽根実氏や芥川也寸志氏の進行でテレビ出演。10歳の時には自作カデンツァでモーツァルトの協奏曲を演奏。1990年全日本学生音楽コンクールで優勝して以来、国内の主要なコンクールで優勝を重ねる。神戸大学を卒業後、パリ・エコール・ノルマル音楽院にてピアノ・室内楽共に高等演奏家課程ディプロムを審査員満場一致で取得(室内楽は全審査員満点による)、国際コンクールでの受賞は10以上に及ぶ。
国内各地の主要ホールはもとより、アメリカ、ロシア、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オーストリア、ハンガリー、ポーランド、台湾、コロンビアを公演で回る一方で、2016年よりハンガリーのダヌビア・タレンツ国際音楽コンクールの審査員長を歴任しており、近年はヨーロッパ各地で国際コンクールやマスタークラスにも多数招聘されている。
これまでに新田ユリ、手塚幸紀、堤俊作、西本智実、山下一史、マルク・アンドレ―エ、デアーク・アンドラーシュ、ミロスウァフ・ブウァシュチック、タラス・デムチシンの指揮のもと、東京交響楽団やロイヤルメトロポリタンオーケストラ、ロイヤルチェンバーオーケストラ、デュッセルドルフ交響楽団、ドナウ交響楽団、シレジア・フィルハーモニー管弦楽団などと共演。キングインターナショナルから《ふたりのドメニコ》《ピアソラの天使》《そして鐘は鳴る》《インヴェンションへのオマージュ》《ブルクミュラー 25&18の練習曲》《わたしを泣かせてください》をリリース。新聞や雑誌への執筆も多く、エッセイや教則本などの単著も次々と刊行。
現職は、大阪音楽大学准教授、洗足学園音楽大学客員教授、宇都宮短期大学客員教授、ブダペスト国際ピアノマスタークラス教授、カシオ計算機株式会社アンバサダー。
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撮影協力:銀座ハプスブルク・ファイルヒェン
https://ginza-habsburg.com
〒104-0061
東京都中央区銀座7-8-7 GINZA GREEN 7F
TEL : 03-5537-3226

定休日 日曜日・月曜日

Lunch
11:30~15:30(L.O.13:30)

Dinner
18:00~22:30 (L.O.19:30)

※夏季・年末年始等、一部変則となる場合がございます
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