まるでグランドピアノみたい。

春の気配を感じる3月7日。東京・渋谷にある「JZ Brat SOUND OF TOKYO」にて日本ジャズ界気鋭のピアニスト平戸祐介氏によるソロプロジェクト「Yusuke Hirado Prospect」のライブが行われました。このライブはファーストアルバム「Heritage」のリリースを記念して開催されたもので、「Yusuke Hirado Prospect」の本格的なライブが観られるとあってチケットは完売。旧知の仲であるサックスプレイヤー元晴氏や若手実力派アーティスト達を迎えてのバンド編成による演奏は、彼らの巧みなテクニックはもちろん、自由度の高いグルーヴと表現力により、観客を魅了しました。 ライブの熱気冷めやらぬ「JZ Brat SOUND OF TOKYO」内で今回のライブのこと、そしてライブで使用したセルヴィアーノ グランド ハイブリッド(以下GH)について、平戸氏に伺いました。

「若手アーティストとのコラボレーションが刺激に」

まずは今回のライブについてお聞かせください。

平戸氏アルバム「Heritage」は、僕の好きな1950年代〜1960年代のハード・バップと現代のジャズを融合させたらどんな化学反応が生まれるかという一種のチャレンジだったのですが、もう一つ、若手アーティストとのコラボレーションもテーマにありました。ですから、今回のライブでも二宮愛(vo)、JUA(rap)、小林”Bobsan”直一(gt)、永田雄樹(ba)、木村創生(ds)といった若手達とプレイしました。演奏では予想以上に、良いシナジーが生まれ、僕自身、刺激的な時間になりましたね。 実は以前は〝お客さんを楽しませたい〞という意識が強かったのですが、まずはプレイヤーである〝自分自身が楽しむのが大切〞ということを、若い世代から学んだんです。変に迎合しないということですね。今回も本当に楽しく演奏ができました。良いグルーヴが生まれた瞬間は思わず笑みがこぼれましたね。僕たちが作り出した2時間の〝熱いストーリー〞をお客さんにも体感していただけたのではないかと感じています。

「ピアノと一体になれるから自在に音を操れる」

ライブのメインで使用されたGHについてはいかがでしたか?

平戸氏「Heritage」の収録の際も、主にGHを使ったのですが、今回ライブをして改めて感じたのは、GHは本当にライブ向きのピアノだということです。しっかり低音が鳴るので、様々な音が交錯するバンド編成での演奏でも自分の音をしっかり感じ取れる。そんな〝音の回りの良さ〞が気に入っています。
また、鍵盤に触れた時の一体感も素晴しいです。グランドピアノだとどうしてもピアノとの距離を感じてしまい、対峙しているイメージなのですが、GHの場合は、ピアノと一体になって、思い通りに演奏できるんです。
自在に操れるから、ライブ中にメンバーをGHの音で包み込むこともできますし、時にはリードすることもできる。一体感を得られるGHならではだと思います。

「GHには、良い楽器に欠かせない“サムシング”がある」

その他にGHで魅力的に感じている部分はありますか?

平戸氏一体感にも通じる部分ではありますが、やはりタッチです。デジタルピアノとは思えない繊細な弾き心地とレスポンスの良さには、正直、驚いています。弾いていてまったくストレスがありません。
そして僕が何より良いと思うのが、楽器としての高級感。クルマでも時計でも高級感があると単純にテンションが上がりますよね。GHにはその要素があるので、弾いている時に「あ、なんかいいな」とサムシングを感じ取れるんです。これは良い楽器には欠かせない大切なポイントなんですよ。
大袈裟ではなくGHは革新的なピアノ。だから、プロのミュージシャンにもどんどん弾いてもらって、GHの良さを知ってほしいですし、多くのライブハウスに、GHが置かれればいいなと思います。

平戸祐介
(Yusuke Hirado)

長崎県生まれ。ジャズ喫茶を経営する父親とクラシックピアノの教師をする母親の間に生まれ、4歳からピアノを始める。中学生のときにジャズピアニストとして活動を開始。ニューヨークのニュースクール大学ジャズ科に進み、ウォルター・ビショップJr.に師事する。大学卒業後に帰国し、quasimodeを結成(現在活動休止中)。その後2012年には自身初となるソロ作品をリリース。そして2017年に新プロジェクト「Yusuke Hirado Prospect」を始動。

1st ALBUM『Heritage』Yusuke Hirado ProspectMono Creation:CSTC-001

  • 01. Encounter
  • 02. There You Were feat. Eric Benét
  • 03. Shades feat. Still Caravan
  • 04. Diploma feat. Pxrxdigm. from WONK & Illa J
  • 05. Soap Opera feat. Mr. J. Medeiros
  • 06. Meek Men
  • 07. The Lust feat. ADAM at
  • 08. Monoliths feat. Cise Star
  • 09. Quadrupolar feat. fox capture plan
  • 10. Walk in The Coastline feat. 元晴
  • 11. Celebrate Life feat. Navasha Daya
  • 12. Heritage

繊細なピアノフレーズが際立つ色彩豊かなトラック群は、オーセンティックなJAZZを基準点とし、HIPHOP、Electronica、Ambient を消化した新たなサウンドと邂逅した、まさに現代JAZZの新解釈といえる1枚。

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