ピアニストが羽ばたくところ ~音楽のためのホールを探して~

第1回

TOKYO FM HALL

(東京都千代田区)

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今日は、ショパンコンクールで日本人最年少入賞の、世界的ピアニスト横山幸雄さんがCELVIANO Grand Hybrid GP-500BPで開いたコンサートにおじゃましました。場所は、TOKYO FM HALLです。まず、席に座って驚いたのは天井の高さ。建物がもうひとつ建つほどの6階分の高さの空間が広がっています。壁は大理石、天井は木製の落ち着いた雰囲気。’85年に作られたTOKYO FMの多目的スタジオです。コンサートが始まると、最初の音だけで、体が包まれるような、柔らな音の広がりと、響きに耳が奪われてしまいます。
TOKYO FMの川島技術部長にお話をお伺いしました。「このホールは“音を主人公”にした設計です」「とくにホールの高さに特徴があって、そのために残響が5秒ほどと豊かです。

クラシック音楽が生まれたヨーロッパの教会を想像して頂ければ分かりやすいと思います。天井が高い分ファーストディレイも少し遅くなり、残響音がフワリと人間的に響くんです」「ピアノには最適ですね。今日はCASIOのハイブリッドピアノだったので、アコースティックピアノのセッティングで収録しました」「モニターしていると、グランドピアノそのもの。ホールとの相性も素晴らしく、素直でアコースティックなレコーディングができました」。ステージから直接聞こえてくる音、天井からシャワーのように降り注ぐ音、壁面の大理石に反射する音。教会でグランドピアノを聞いているような響き。「クラシックの基礎をしっかり勉強した」ホールはピアノの音をさらに美しく響かせてくれる、もう一つの楽器のようでした。

CELVIANO Grand HybridGP-500BPは、弾いているピアニストが最高の音で聞けるよう設計されています。そのために「SCHOEPS」というニュートラルな持ち味のマイクを、ピアニスト側にセット。自分が弾いているような、自然な音で収録しました。

DATA

1985年に開館。212席から308席まで、7パターンにステージを変えることができるホールで、クラシックからポップス、ジャズ、邦楽のコンサートから映画会や講演会なども対応が可能です。川島技術部長によると、高さのある独自の構造に加え、目的にあわせて残響の長さを調節できる機能も採用。CDの音源化やFM放送の番組中継もできる「音にこだわって」使えるイベントホールです。

− TOKYO FM HALL 〒102-8080 東京都千代田区麹町1-7 2F 03-3221-0080

− TOKYO FM HALL 〒102-8080 東京都千代田区麹町1-7 2F 03-3221-0080